相続の打ち合わせをしていると、「常識」ってなんだろう と思うことがあります。
葬儀費用は誰が負担するのか、お墓は誰が守っていくのか、遠方から法事に来てくれた方にお車代を渡すのか、お坊さんに心づけを渡すのか等々、聞かれることがあります。
常識って同じコミュニティにいるからこそ成立する概念なので相続人全員が一か所に何十年も暮らしていれば暗黙の了解があるとは思われますが、個々人の考えが尊重され、インターネット上に情報が氾濫している現代社会において暗黙の了解は成り立たないです。
「常識」は、立場の強い方が立場の弱い方を黙らせるための道具のように感じる相続人もいます。「常識」は一つの考え方ではありますが「常識」に従う必要はもちろんありません。
相続人はそれぞれ権利を持っていますので上記の葬儀費用等々は相続人の合意により決めることが大前提です。
司法書士の役目は、法律の内容、法律で明記されていないことは相続人全員で合意形成して決める ということを説明し、全相続人に納得のいく話し合いをしてもらうことだと当事務所は考えています。
そのために、立場が弱く言い出しづらい方の代わりに「皆さんで話し合って決めましょう」と、話し合いのきっかけを作る一言を発しています。
毎回ドキドキしますが、怒鳴られたり反発されたりすることはほぼないです。
「常識」という方々もその方なりに話し合いを纏めようとしてひとつの提案をしているだけ、ということが多いようです。
お互いの心のすれ違いを少しだけでも修正するのが司法書士の大切な仕事です。